朝日新聞国際報道部記者・峯村健司さんにお出でいただいて、チャイハナトーク「中国人民解放軍の実力」を開催しました(18日)。
峯村さんは最近、『潜入中国――限界現場に迫った特派員の2000日』(朝日新書)を出版したばかり。中国特派員を務めた2007年からの6年間で、中国当局に拘束されたこと20回以上という強者記者です。
峯村さんの特ダネだった、中国初の国産空母の話なども興味深かったのですが、なんといっても、面白かったのは、中国の「非対称戦」戦略です。
陸、海、空といった正常の戦いは、簡単にはアメリカを抜けません。だからかどうするか、アメリカが弱い「急所」を叩く――そんな戦略です。
具体的には、@サイバー戦略 A宇宙戦略 Bハニートラップ・・・
●サイバー戦略・・・サイバー空間は、陸海空につぐ「第4の戦場」という位置づけ。
通信情報ラインの破壊、混乱が狙いです。そのための部隊があり、多数の要員を抱えています。
峯村さん自身のパソコンに侵入されそうになった経験も話に出ました。
●宇宙戦略・・・中国は、古くなった自国衛星を実際に破壊したことがあります(07年、このとき出た無数のデプリはいまも天空を漂っています)アメリカ衛星のすぐ近くを通り抜けてもどる衛星(ミサイル?)の実験にも最近成功しました。
通信衛星がもし破壊されたら、位置情報(GPS)が使えなくなります。戦車をはじめ多くの兵器が使用不能状態でしょう。
●ハニートラップ・・・簡単にいえば「女スパイ」。全世界に10万人から100万人という数字を聞いてびっくり――。しかし、これはスパイのプロと素人の区別がつきにくいということのようです。「悉皆スパイ」とでもいうか――誰でもいい、なんでも(情報を)取ってこい、役に立てば儲けもの、ということ。
最近知ったのですが、ユダヤ人の未来学者・ユヴァル・ハラリが不気味な未来を予言しています。
「AI(人工知能)とバイオテクノロジー、生体認証技術などで、全国民を常時追跡できる、歴史上存在したことのない全体主義的な政府が生まれる」 そして、
「20年後には、世界の国々の多くが、アメリカか中国の植民地になる」
どう考えるか? 峯村さんに聞いてみました。
「中国の方がリードしそうだ」――そういう答だった、とわたしは理解しました。