
久方ぶりのチャイハナトークでした。1月23日(日)午後です。オミクロンの蔓延防止のため、急遽、ズーム併用によるハイブリッド形式になりました。
谷岡健吉氏(元NHK放送技術研究所長、映像情報メディア学会副会長)をお招きしました。恩賜発明賞など多くの賞を内外で受賞した方です。
タイトルは「映像技術と医療への応用」です。
谷岡さんが発見したHARPと呼ばれる超高密映像技術(8K)の原理や仕組み、応用など大変高度な事柄なのですが、素人にも分かる、丁寧なお話でした。
工業高校の出身でこのような大発見に至った、山あり谷ありの人生経験もご披露なさいました。そこで強調なさったのは、セレンディピティ(小さな気づきを大切にする?)ということです。
いま取り組んでいる「8K映像技術の医療への応用」については、まず、その研究の意義をお話になりました。以下の2点です。
@ 人々の幸せの向上に尽くす
A 日本に新しい産業を興す
このような考えをベースに生きる人の幸せを思いました。
「新しい産業」ということについていえば、お話を伺うまで、超精密撮影を用いた医療ともなると、超高価が当然。資金力の違いで寿命も変わってくる。いよいよ究極の格差の時代が始まるのだろうか――そんな漠然とした疑問を持っていました。お話を聞いて、この考えが間違いだったことに気づきました。
超精密映像を用いた医療は、@患者の負担が減る、A手術がより確実・平易になる――といった効用があります。いまは仮に高価で特別な手術であるとしても、将来的に大きく普及するのは間違いありません。次世代医療技術としては標準的な技術ということになりそうです。大病院は無論、中小の病院や医院でも標準的な装備になるでしょう。しかも、胃腸や脳外科の関係だけでなく、眼科や皮膚科でも有効だといいます。
世界中の病院や医院を考えると、巨大なマーケットが目の前に開けています。極めて有望な巨大産業が見えてきたように思いました。
もう一点の「人々の幸せ」というのは、健康、長寿といった点で、その通りです。
たまたまなのですが、つい最近開かれた、「季語研究会」の集まりで知ったのですが、松尾芭蕉は51歳で逝去しています(1994年)。夏目漱石が亡くなったのは、49歳のときです(1916年)。そのくらいが、普通に「寿命」と思われていたのです。わたしの若かった頃も「人生50年」と言われていました。
それがいま、男女とも平均寿命は80歳代半ばです。半世紀足らずのうちに、寿命が30年以上も伸びたのです。芭蕉や漱石から見ると、わたしたち現代人は別の種族でしょう。
8K映像技術の医術への応用も、当然、寿命をさらに延ばすことになります。そして、悪いところは人工の臓器に取り替えたサイボーグ(人工人間)のような「人間」が増えそうです。
人間の寿命はどこまで伸びるのか?
どんな社会ができるのか?
未知の未来がすぐそばまで来ていることを実感する、お話しでした。
谷岡さんが来て下さったのは、高知市潮江中学校で家内と同級だったからです。阪神の江本孟紀選手、東京都の浜渦武生副知事(石原都知事)も同級生だったとのことです。