集中豪雨による大規模水害が、九州各地をはじめ広く日本列島を襲っています。これに関連して、九州・熊本で大洪水があった7月6日のユーラシア大陸南部の天候写真を紹介します。

インド西岸から日本列島まで右肩上がり・ほぼ一直線の前線が見て取れます。FBで友人が教えてくれました。「アジア・モンスーン前線」といえるものだが、こう一直線になるのは珍しい、と友人はコメントしていました。
ところで、この図を見れば分かることですが、今年の集中豪雨による大規模災害は、日本列島だけのことではありません。
九州大豪雨の一月前ごろから、インド北部(アッサム州)、バングラデシュ、ミャンマーなどから大規模水害のレポートが届くようになりました。中国・揚子江一帯でも、上流域から中流域へと洪水が広がり、「三峡ダム決壊・寸前」「決壊か?」といったニュースが繰り返し流れました。いまも、おさまったという報道はありません。
揚子江一帯では、「半世紀に一度の長雨」「上流からの水」「(1000以上の)個別ダムの放水」と悪条件が重なって、すでに2000万人以上が被災、さらに下流域の大都市への被害の拡大が懸念されている、ということです。
もうひとつ、一見まったく別件のようですが、昨年末、アフリカ北西部(ソマリア、エチオピア一帯)でイナゴが大発生した、という報道がありました。イナゴの大群はその後、イラン、パキスタン、インド北部、中国南西部と移動、いまは中国・四川省から湖南省あたりまで達し、猛威を振るっているということです。まさしく、「モンスーン前線」沿いの移動です。
西アフリカのバッタの大発生のときにいわれたのは、「インド洋ダイポールモード」といわれる現象です。ダイポールは「二つの極(双極)」という意味。インド洋が、海水温の比較的高い西側海域と比較的低い東側海域の二つの極(ダイポール)に分岐した。高水温の西側海域は、一種の熱源として多量の水蒸気(積乱雲)を発生させ、北西アフリカに大量の雨を降らせ、それがバッタの大発生につながった――という説明です。
この「インド洋ダイポールモード」の原因は、昨年夏、南半球インド洋で南東季節風が強かったため、温暖な表面水が東から西に運ばれたことだとみられています。南東季節風の強まりは、やはりオーストラリアの大規模森林火災が関係している可能性があります。
高温のインド洋北西部で発生する積乱雲の軍団は、(北半球の)北西季節風に乗せられ、インド西岸(まさに図に示された「モンスーン前線」の出発点あたり)に上陸。そこからさらに、積乱雲の上昇気流が次々に生み出す別の積乱雲や周辺各地から呼び込んだ水蒸気で勢力を強めながら、はるばる日本列島まで至った!
以上が、「今年のモンスーン前線」についてのわたしの理解です。
ありきたりの感想ですが、自然現象には「国境」はないのだな、ということをつくづく思います。
それと、コロナ、バッタ、水害と、「続くときは続き」ますね!
次は?――気になります。
吉村 文成
posted by chaihana at 15:59|
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